より安心することの出来る石材店を選ぶメリットブログ:19年05月27日
妻が旅行先で転び、左足を捻挫した。
翌日からわたくしは会社を休み、
妻の車椅子を押して通院することになった。
このことは、
札幌にいるムスメには内緒にすることにしていたが、
ムスメから外食の誘いがあったので、すべてバレてしまった。
次の日の午前中、
ムスメが子猫を連れてやってきた。
わたくしは玄関で迎えたが、一瞬別人かと思った。
二十年近くデンマークにおり、ごく最近帰国していた。
電話でのやりとりはしていたが、久しぶりに見るムスメであった。
「元気だったか」わたくしがそう言うと、
「元気だわ。それよりも、ママはどう?」と、
ムスメは無遠慮に上がり込んできた。
妻は何度か外遊し、ムスメとよく会っていた。
ムスメは、叔母の若い頃に似ていた。
色白のふっくらとした顔で愛嬌がよく、
子供のわたくしとよく話し合う機会があり、
姉貴のような感覚を起こさせる人だった。
早速介護するムスメの顔を、わたくしは何度も横目で見ていた。
「パパ、早く濡れタオル持ってきて。
それから、お昼が近いから、何か買ってきてよ」
わたくしは急に、召使いになった。
少々腹が立ったが、老いては子に従え…と考えれば、理解できた。
ムスメには、生活力がみなぎっていた。
簡単な昼食後、テレビを見ていたが、
ムスメが先程からわたくしを注視していることに気付いた。
「ねえパパ、白髪が増えたわね。横の方、耳の上のあたり、真っ白よ」
なんだ、そんなことかと思った。
そしてムスメを見て、ムスメもおばさんになっていた。
「今夜、外食しない?」
子猫を抱いたムスメが、晴れやかな顔をした。
わたくしは子供のように、手を挙げて賛成した。
「パパ、ズボンぐらい、取り替えなさいよ」
妻はブラシで、髪をとかしている。
その妻の後ろに、叔母が立っていた。